幻のびわ蜜!立石靖司さん
ビワ農園を営む長崎県西海市西海町黒口郷の立石靖司さんがニホンミツバチの養蜂に取り組んでいます。 花が咲く晩秋にビワの蜜だけを集め「幻のびわ蜜」としてブランド化を目指しています。 入り江を見下ろす丘にある立石靖司さんのコピエの丘農園では、現在かぶせた袋の中で果実が育っています。 そのすぐそばに約2万匹が"入居"する巣箱を50個並べています。 6年前に在来種のニホンミツバチが農薬などの影響で激減していることを知りました。 自らの手で増やそうと一つの群れ(約2万匹)から飼い始め、年々増やしながら蜜を採取。 当初はさまざまな蜜が混じった「百花蜜」を販売していましたが、3年前にビワに着目しました。 長崎県特産のビワは10月末から花をつけます。 ハチは、気温が10度以下になると活動が低下します。 このため市場に「びわ蜜」の商品は出回っていませんでした。 しかし立石靖司さんは、この時季農園周囲にほかの花がほとんど咲かない地理的な有利さを生かして昨年秋に試験的に取り組みました。 10月末の開花に合わせて、それまでに集めたほかの花の蜜と混じらないよういったん蜜を採取。 11月末にハチが集めた蜜を搾り、黄金色で濃厚な味わいに手応えをつかみました。 立石靖司さんは「国内に出回っている蜂蜜の9割以上が輸入品だ。国産のメーンはセイヨウミツバチでニホンミツバチそのものが貴重」と指摘。 蜜源をビワに限っっているのでさらに高級品になると考えて一般的な蜂蜜の2~3倍に当たる1キロ1万2千円で約100キロ売り出す計画です。 立石靖司さんは、西海町内にある田舎暮らしの体験拠点「さいかい元気村」の運営メンバー。 昨年度は、新たに養蜂講習会を開いて巣箱の作り方を伝えました。 夏には、元気村に隣接する耕作放棄地を活用し「和蜂の森」をオープンする予定。 30群の巣箱を置き、間近で観察したり蜜を搾って味わえたりするようにします。 「全国でも珍しい『体験養蜂』でまちおこしをし、自然豊かな西海市を養蜂の中心地にしたい」と夢を語る立石靖司さん。 「もともとニホンミツバチは里山の生物。『人との共生』をテーマに、里山保全に力を注ぎたい」と話してくれました。