ミカンの皮から有用成分を抽出し商品化へ研究

関西大学先端科学技術推進機構(大阪府吹田市)は、和歌山県田辺市上秋津で農産物直売所やジュース工場を運営する農業法人「きてら」と連携し、ミカンの皮から有用成分を抽出し、健康食品や吸着剤などの商品化につなげる研究に乗り出しました。

加工後の残渣(ざんさ)まですべて生かす農商工連携の新しい6次産業を目指しています。

研究は、国の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(2013~2017年度)に採択されました。

今まで廃棄されていた規格外農産物や残渣から複数の有用成分を抽出して製品化を図るとともに、エタノールと活性炭を生産し、抽出溶媒や吸着剤などとして再利用することを目指します。

計画では、上秋津のミカンだけでなく、他地域の自治体やJAなどとも連携し、安定して確保できる農産物や加工廃棄物を探し研究します。

代表は、関西大学化学生命工学部の片倉啓雄教授。


関大の環境都市工学部や社会学部などさまざまな分野の研究者、医薬基盤研究所(大阪府茨木市)、大阪府立環境農林水産総合研究所(同府羽曳野市)も加わって取り組みます。

片倉啓雄教授は「商品にすることを前提に、販売力、競争力あるものにしたい。産官学が無理なく連携できる枠組みをつくりたい」と話してくれました。

生産コストの削減が必要で、一つの農産物残渣から複数の成分を高効率で抽出することを目指しています。

ミカンの皮は、高脂血症予防の作用があるとされる「ヘスペリジン」(ビタミンP)や発泡スチロールを溶かす「リモネン」、抗がん剤の効果増強や生活習慣病予防の作用がある「ノビレチン」、増粘剤に使われる「ペクチン」を含んでいます。

上秋津では、約80種類のかんきつ類が栽培されており、ほぼ年中収穫されます。

規格外のかんきつ類に自分たちで付加価値を付けようと、住民出資でジュース工場を建設し、2004年から稼働。

生産から加工、販売まで手掛ける6次産業化に取り組んでいます。

「きてら」によると12年度は計75トンのミカンを搾ったが、そのうち65%ぐらいは皮などの残渣。

残渣は、リサイクル業者に重量に応じて費用を払って引き取ってもらい、肥料に変えられますが、残渣の7割以上は水分で、その水分も有効活用したい考えもあるということです。

今回のプロジェクトでは、すでに清見オレンジやバレンシアオレンジ、極早生温州ミカンの皮などを提供しています。

きてらの玉井常貴社長は「地域の資源すべてを有効活用したいという考えが、プロジェクトの趣旨と一致したので参加した。どんな有用なものができるか楽しみ。採算の見通しが立てば事業化したい」と話しています。

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