9/29/2013

スマホ遠隔画像診断システムKサポート

徳島県立海部病院が多機能携帯電話スマートフォンを使った遠隔画像診断システムを導入し、成果を挙げています。

専門医の不在時に脳卒中患者が搬送されてきた場合など、これまでに69件で活用され、迅速な医療措置に効果を発揮しました。

医師の偏りで生じている都市部と過疎地の医療格差を埋める役割としても期待が高まっています。

スマートフォンを使った遠隔画像診断システムは、脳や心疾患など治療に一刻を争う救命現場で専門医が不在の場合の対応を想定して開発され、県内では徳島大学病院が2012年4月から運用を始めました。

スマホに送信される磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)の画像を基に、専門医はいつ、どこにいても適切な処置を判断、助言できます。

システムの強みをより生かせる場として選ばれたのが、医師数の少ない海部病院でした。

過疎地の病院では全国初の導入で、約800万円かけてシステムを構築。

海部の頭文字をとって「Kサポート」と名付けました。


Kサポートは、18台の専用スマホを、海部病院の医師と徳大病院、県立中央病院の専門医に配備しています。

海部病院の医師が専門外の診断で外部の意見を必要とする際に、画像を院外の専門医に伝送します。

これまでにKサポートを運用した69件は、約6割が治療に一刻を争う脳神経疾患でした。

導入2日目、当直体制に入った海部病院に80代の女性が脳卒中で救急搬送されてきました。

病院に専門医はいません。

当直医がKサポートでMRI画像を徳大病院の専門医に伝送すると、専門医が素早く対応。

発症後3時間以内なら症状を大きく改善できる薬を投与でき、まひなどの後遺症を防ぐことができました。

海部病院は、従来も徳大病院の医師に電話で症状を伝え、助言を仰ぐ支援を受けていました。

だが、この時の当直医は「Kサポートを使わなければ投薬の可否判断が難しかったケース」と振り返ります。

海部病院は常勤医が10人に満たず、夜間や休日の当直は主に1人体制となります。

ある若手医師は「専門外の診察を日常的に行っている状況。Kサポートは、医師の不安や負担を緩和してくれて心強い」と話してくれました。

徳島県内は都市部への医師偏在が悩み。

10年の県内医師数2223人に対し、海部郡は41人。

脳神経外科医は、海部病院の「寄付講座」に徳大病院から2人が派遣されているが週5日に限られています。

Kサポートの導入を進めた徳島大の影治照喜特任教授は「過疎地に専門医を送って医療サービスを拡充するのと同等の効果がある」と、医師偏在を補完する役目を担うと強調。

若手医師の教育にもつながり、とかく経験や知識が積みづらいと敬遠されがちな地方の病院に、若い研修医を呼び込む契機になるとの期待も寄せています。

医療現場で評価の高いKサポートですが、協力する指導医は無報酬。

Kサポートを介して治療がうまくいかなかった場合の責任の所在も明文化されていません。

こうした点のルール作りが、今後の課題として残っています。


Kサポートのスマホは、海部消防組合にも配備され、救急隊員と医師の意思疎通を図る試みも始まりました。

影治特任教授は「あとはいかに工夫し、システムを発展させる運用を重ねるか。うまく機能すれば、新たな地域医療支援体制のモデル事例になる」と話しています。


徳島県立海部病院

〒775-0006 徳島県海部郡牟岐町大字中村字本村75-1

TEL 0884-72-1166

FAX 0884-72-2383

診療科目 内科、小児科、外科、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科、産婦人科、放射線科

診療受付時間 平日の午前8時から午前11時30分まで

休診日 土日祝祭日、年末年始

外来駐車場 106台分

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