原発事故避難指示解除準備区域で稲刈り

東京電力福島第一原発事故に伴う福島県田村市都路町の避難指示解除準備区域で稲刈りが始まりました。

第一原発から半径20キロ圏内の旧警戒区域で出荷用のコメが収穫されたのは初めてです。

品質は悪くない。感無量だよ、と生産農家の坪井久夫さんは黄金色の穂を満足げに見詰めました。

午前9時すぎ。爽やかな秋晴れに恵まれた山里に、坪井久夫さんと妻の千賀子さんが駆るコンバインの音が響きました。

自宅裏手の水田でチヨニシキを刈り取りました。

坪井久夫さんは、5月に3年ぶりに稲作を再開。

チヨニシキやひとめぼれなど3品種を区域内の1.9ヘクタールを含む計2.6ヘクタールに作付けしました。


見込み収量約12トンの7割程度を政府の備蓄米に出荷し、残りを自家用と震災前からのなじみ客向けの販売に充てます。

収穫を迎えても、不安が全て消えるわけではありません。

出荷には、放射性物質の全袋検査で基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回ることが前提となります。

坪井久夫さんは、田植え前から放射性物質対策として水田にゼオライトをまいたり、茎を倒れにくくする薬剤を与えたりしました。

周囲に電気柵を巡らせ、イノシシの食害対策にも力を入れました。

自宅に継続的に寝泊まりできる長期特例宿泊が8月に始まるまでは、田村市内船引町の仮設住宅から片道40分の通い農が続きました。

震災前には、想像もしない無我夢中の日々だっただけに、実りの秋の喜びはひとしおです。

田村市都路町の避難指示解除準備区域では、64戸の農家が稲作に従事していましたが、営農を再開したのは、坪井久夫さんら3戸のみ。

田村市によると、来年は新たに10戸程度が再開する見通しだそうです。

坪井久夫さんは、順調に出荷が進めば、来年は耕作面積を2倍に増やす予定です。

原発事故による風評を少しでも解消しようと、農地を映すライブカメラを導入し、生育状況を公開する構想もあります。

「検査を通るまでは安心できないが、苦労した分だけおいしいはず」と期待を寄せています。

傍らで手伝う坪井千賀子さんも「今年はまず、都路のコメをお客さんに味わってもらうことが第一目標」と話してくれました。

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