6歳未満の脳死移植
富山大学附属病院に入院していた6歳未満の男児が脳死と判定され、家族の承諾を得て臓器が摘出、移植されました。
臓器移植できる条件を15歳未満にも広げた改正臓器移植法が施行されて約2年。
15歳未満からの脳死移植は2例目ですがより厳格な判定基準が適用される6歳未満からは初の提供となりました。
男児の心臓は大阪で10歳未満の女児に、肝臓は東京で10歳未満の女児に、腎臓は富山で60代女性に移植されました。
脳死移植でしか救えない子どもたちを救う制度が実際に運用されたのは、移植医療では一歩前進といえます。
ただ、子どもの脳死についてはこれまでも慎重な検討が重ねられてきただけに、しっかりとした検証が必要。
幼い子どもは脳にダメージを受けても回復力が強いとされています。
そのため、6歳未満の場合は脳死判定する2回の検査の間隔を「24時間以上」あける規定があります。
6歳以上に適用される「6時間以上」の4倍にあたります。
また幼児段階では言葉の表現力が拙く、生前に臓器提供を拒否していなかったかなど意思確認が難しい。
このような特性を踏まえると、まず救命の治療を尽くすことが大前提であり、さらに家族への十分な説明、脳死判定基準の厳格な適用、虐待や事件性がないか綿密なチェックが不可欠。
小児神経科医の一人からは「(今回の例で)流れができたら、2、3例目はイージーになる。それでいいのかという思いがある」と懸念する声も上がっています。
日本臓器移植ネットワークのまとめによると、臓器提供を待っている移植希望登録者は全国に約1万3000人いて、そのうち移植手術が受けられるのは年に約300人。
移植希望登録者の約9割が腎臓で、県内でも腎臓提供を希望する患者が2010年末で266人。
改正臓器移植法に基づく脳死判定下で、腎臓を提供してもらい移植手術を成功させたのは県内で2例。
心臓疾患では、渡米して移植手術を受け、昨年帰国し元気に学校へ復帰した女子中学生のことが、明るい話題として記憶に新しい。
県民の心温まる募金や、米国では「奇跡的」といわれるほど速くドナーが現れた幸運が重なっての成功でした。
しかし現実には、資金難な上に、渡航してもドナーを待つ間に亡くなる子どもも多いそうです。
渡航移植に対しては世界保健機関(WHO)が自粛を求める指針を決定。
そんな現状の中で、6歳未満の脳死による臓器提供に道が開けたのは、待機患者からすれば一筋の光となるでしょう。
一方で、移植医療に携わる医師の「臓器移植の片方には必ずお葬式がある」との言葉を忘れてはなりません。
男児の両親は「誰かのからだの一部となって長く生き続けてくれるのではないか」と希望を託しています。
今後、子どもの「みとり」の一つとして脳死移植が進むかどうかは、家族を支える体制と移植医療への信頼が築けるか否かにかかっています。
臓器移植できる条件を15歳未満にも広げた改正臓器移植法が施行されて約2年。
15歳未満からの脳死移植は2例目ですがより厳格な判定基準が適用される6歳未満からは初の提供となりました。
男児の心臓は大阪で10歳未満の女児に、肝臓は東京で10歳未満の女児に、腎臓は富山で60代女性に移植されました。
脳死移植でしか救えない子どもたちを救う制度が実際に運用されたのは、移植医療では一歩前進といえます。
ただ、子どもの脳死についてはこれまでも慎重な検討が重ねられてきただけに、しっかりとした検証が必要。
幼い子どもは脳にダメージを受けても回復力が強いとされています。
そのため、6歳未満の場合は脳死判定する2回の検査の間隔を「24時間以上」あける規定があります。
6歳以上に適用される「6時間以上」の4倍にあたります。
また幼児段階では言葉の表現力が拙く、生前に臓器提供を拒否していなかったかなど意思確認が難しい。
このような特性を踏まえると、まず救命の治療を尽くすことが大前提であり、さらに家族への十分な説明、脳死判定基準の厳格な適用、虐待や事件性がないか綿密なチェックが不可欠。
小児神経科医の一人からは「(今回の例で)流れができたら、2、3例目はイージーになる。それでいいのかという思いがある」と懸念する声も上がっています。
日本臓器移植ネットワークのまとめによると、臓器提供を待っている移植希望登録者は全国に約1万3000人いて、そのうち移植手術が受けられるのは年に約300人。
移植希望登録者の約9割が腎臓で、県内でも腎臓提供を希望する患者が2010年末で266人。
改正臓器移植法に基づく脳死判定下で、腎臓を提供してもらい移植手術を成功させたのは県内で2例。
心臓疾患では、渡米して移植手術を受け、昨年帰国し元気に学校へ復帰した女子中学生のことが、明るい話題として記憶に新しい。
県民の心温まる募金や、米国では「奇跡的」といわれるほど速くドナーが現れた幸運が重なっての成功でした。
しかし現実には、資金難な上に、渡航してもドナーを待つ間に亡くなる子どもも多いそうです。
渡航移植に対しては世界保健機関(WHO)が自粛を求める指針を決定。
そんな現状の中で、6歳未満の脳死による臓器提供に道が開けたのは、待機患者からすれば一筋の光となるでしょう。
一方で、移植医療に携わる医師の「臓器移植の片方には必ずお葬式がある」との言葉を忘れてはなりません。
男児の両親は「誰かのからだの一部となって長く生き続けてくれるのではないか」と希望を託しています。
今後、子どもの「みとり」の一つとして脳死移植が進むかどうかは、家族を支える体制と移植医療への信頼が築けるか否かにかかっています。